森倶楽部21
特定非営利活動法人 森倶楽部21
安曇野の長峰山で人と生きものたちが生き生きとつながる里山再生に取り組んでいます

活動フィールド

私たちの活動フィールドは、長野県安曇野市の東部に位置する長峰山にあります。古くから地域の人々に里山として利用されてきたところです。

長峰山の位置図


活動エリア

蝶の森について

「蝶の森」は、長峰山山頂へと続く尾根の途中にあり、標高916m、面積約200㎡で、アカマツと広葉樹に覆われ、東西の車道に挟まれた位置にあります。

 2002年10月、長野県が主催する育樹祭が長峰山を会場に行われ、この育樹祭がきっかけになり、2003年から「チョウを指標にした森づくり」が始まりました。
「チョウを指標にした森づくり」については、私たちが長峰山で活動を始めた当初から蝶類生態研究家である浜栄一さんに里山整備の指導をしていただきました。

 何故チョウを指標にするのか?
チョウは昆虫の中でも食草、食樹、生活史がよく調べられていること、チョウの生息調査をすることで、生き物からみた里山整備の効果を顕彰することができること、姿が美しく、身近な昆虫として捕まえたりして愛好者が多いので、地域における標本、記録、記憶などで時代を遡って調べることができるなどの理由からです。
浜さんから、チョウの観察や調査の仕方を教えていただき、一帯の環境を知ることから活動が始まりました。

 活動当初牧草に覆われていた草原は、機械による天地返しをおこない、森林は、間伐、除伐、枝打ち、林床整備などを行ってきました。
 森林の中には、チョウも人も移動できるように2m巾の「チョウの道」を造成し、森林と草原を結ぶ林縁部は細やかに手を入れてきました。2015年には草原北側、2020・2021年には草原南側のコナラ、サクラなどを伐採して草原面積を拡張しました。

 現在は年2回(6月、10月)の草原の草刈り、長峰山頂への遊歩道やチョウの道の草刈り、林床・林縁整備などを適期に行いながら調査と整備活動を行っています。
 堤平では2012年2013年に森林の里親促進事業でチョウの食樹を植え、植樹地A、Bとして保育をしてきました。2019年になって、このゾーンも蝶の森活動の対象区として、毎木調査、オオムラサキの越冬幼虫の調査を行い、引き続いて草刈り作業をおこなっています。

蝶の森にある植樹地について

 2011年9月、県が進める「森林(もり)の里親促進事業」の候補地として長峰山が挙げられ、長野朝日放送株式会社が里親となり、安曇野市と森倶楽部21が里子として契約書を取り交わし、植栽、下刈り、自然観察会を2年間実施することになりました。

 植栽する樹種案については、サクラとカエデの混交案、痩せ地部分にクヌギを等の意見が出されました。森倶楽部21では、浜栄一さんに相談し、チョウを呼び戻すことを目的に、チョウの食草を植えることを提案したところ、提案通りに進められることになりました。

 植樹地は、長峰山森林体験交流センター前の道路を明科方面に10m程向かうと右手に降りる遊歩道があり、その遊歩道を挟んで南西側と北東側に設けられています。この一帯は、矢ノ沢地区の方々が堤平(つつみていら)と呼んでいる場所です。

 2012年に植樹した南西側を、植樹地Aと命名し、エノキとクヌギを300本植栽しました。この場所は、以前に旧明科町がエノキを植栽した所で、すでに生長している木の間に植えることにし、上部はクヌギ、下部にエノキを植栽しました。また、この斜面の中央部は、白牧地区の地すべり対策で出た残土を捨てた部分で、始めは草地だったが、たちまちニセアカシアが繁茂し、この刈り取りを2年ほど行ってからの植栽となりました。

 2013年に植栽した北東側を、植樹地Bと命名し、クヌギ、カシワ、キハダ、ウダイカンバ、トチノキ、エノキの6種305本植栽しました。スギ林の上部に位置し、ニセアカシアが繁茂し、ホオノキやサクラなどの太い木が生育していたが、すべてを伐って地ごしらえをしました。

 植栽は、上部にクヌギとカシワ、下部にはキハダ、トチノキ、ウダイカンバ、エノキとし、キハダとエノキを交互に植え、特に下部北側にはトチノキを植栽しました。いずれの場所も植栽後、シカ、ノウサギの食害を防ぐために防護ネットで周囲を囲ったが、植樹地Aについては、樹木の生長が著しく防護ネットは不必要との判断から2020年春に取り除きました。これまで、夏前に1回の草刈り、冬前には防護柵の修理などを行い、維持管理に努めています。

絆の森について

天平自然園(あまってらしぜんえん)

 天平自然園は、森倶楽部21が活動を始めた最初のフィールドです。レンゲツツジは、かつては長峰山山頂でも観られましたが、今では限られた分布となっており、ソメイヨシノとレンゲツツジは共に地元矢ノ沢地区住民が公園として手入れをされてきた所です。家畜の飼料として草刈りをされてきた草地部分、北西側の畑地に面した部分は植栽されたアカマツ林が広がっています。

 矢ノ沢地区からこの地の保全を依頼され、2001年~2002年にかけ大半のアカマツを伐採して草地を拡大する整備を行い、年2回の草刈りを継続してきました。現在、この時に残したアカマツは、ここ数年で急速に松枯れが進んでいます。

水田跡地

 水田跡地は、長峰山における最高所の水辺であり、昭和53年(1978年)まで耕作が行われていました。遊歩道に架かる『絆橋』より上流側に6枚、下流側に2枚の田圃があり、湧き水の源頭部にはカラマツ、スギが植えられている。水源は上部の烏帽子峰である。

 耕作が行われなくなった田圃は、一面に植物(オオカサスゲなど)が繁茂し、水の流れがあり、絆の森唯一の水場として、特に水生昆虫にとっては欠かせない生息場所となっています。2003年から8回の調査と共に、毎年1回冬になる前に、池の泥上げ作業と支障木の伐採などを実施しています。

 

 このほかに絆の森には、水平歩道、烏帽子峰など、里山らしい多様な環境があり、森倶楽部21では遊歩道の整備や間伐、草刈りなどの整備をおこなっています。またここを訪れる方のために、間伐材で樹木札などを設置し、維持管理しています。